This Is The One! - innocent -俺にとってのお気に入り(The One)を公開していくブログです。最近は目にしたものをどんどん書いていく形になっています。いっぱい書くからみんな読んでね。
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JUGEMテーマ:漫画/アニメ いまさら見ました。 映画版を見たのが、まだSFというものにさっぱり馴染みがなかった時期で、なにやらすごいことをやっているのだろうけどいまいち理解できなない、という状態だった。 特に『イノセンス』は、やったらと引用が多くてモトネタもわからないし、映像と音楽で圧倒されるもののいったいどうしたもんかわからなかったというのが本音ですな。 最近、小松左京を読んで頭がSF方向に傾いているときに、次はどこに行こうかと思っていろいろとあたっていた。 まずはJ.P.ホーガンの『星を継ぐもの』に行ったが、これは訳文に違和感がぬぐえなくてすぐに放り出した。(これはまたのちほどがんばって読む予定) 次は国内ものだー、ってことで『戦闘妖精・雪風(改)』に触れたんだけど、これも文章がどうも馴染めない。 別に戦闘シーンの変な文体が嫌だとかそういうことじゃなくて、単に何がどうなってるのかわからない。 二人だけのシンプルな会話シーンのはずなのに、今どっちの人が話してるのかすらわからない。 どこで誰が何をしてるのかっていうのがさっぱりつかめなくて面白くないのでやめた。 話の内容もあまり興味をひかれるものでもなかったし。 SFとしての面白さ以前に文章がきちんとしているというのは、当たり前のことのようでいて、この分野では一つのネックになるのだと思った。 その意味でも、小松左京はさすがというかなんというか。 そこが当たり前じゃないというのは厄介だな。 で、半村良に行こうかとも思ったんだけど、少し小説を離れてみるかと思って、アニメに行ってみた。 実はテレビ版も以前に半分ぐらいまで見ていたのだけど、“笑い男”以外の話がそこまで面白くなかった。 こっちとしては“笑い男”の続きが見れればそれでよかったんだけど、なかなか出てこないのでしびれをきらしてやめてしまっていたのだ。 まぁでもあの世界を見てるだけでも、見続けるのに最低限の面白さはあるし、内容もクソっていうほどわるかないしな、と考えて、続きを見ることにした。 そういうことでやっと全部見たんだけど、やっぱり“笑い男”と他の話の面白さには落差がある。 まぁ、この話は“笑い男”と関係ないな、ってだんだん見切ってやめていったから断言はできないけど。 それでも他の話を我慢しても見るだけの価値がある。 “笑い男”はそれぐらい面白かった。 始まりは政治の話で、最終話で社会学や哲学の話になってたけど、背景に膨大な知識や、よく練られた考察がある上でのエンターテインメントというのは最高に面白い。 サスペンスやどんでん返しの巧妙さというのは、あまり鋭くはないけども、そういう話ではないもんね。 やっとこさ“笑い男”の続きが始まる21話で、新薬の認可をめぐる政治の話がすごい勢いで展開され始めたときは、正直ついていけなかった。 前半を3回見直しておおすじを理解してから、後半に向かったものね。 この話は“笑い男”じゃなくても見るな、と思いながら見てたら“笑い男”が出てきたから、やったーって感じだった。 以前見ていたのが1年以上前のことだから、“笑い男”事件ってどんな話だったかほとんど覚えてなくて、若干苦労した部分もあった。 様々な人が口をそろえて言う「世の中は汚い」ということの、一つの例がここにある。 劇中で「社会システムの醜悪さ」と表現されるものだけど、それをきっちり描いてくれるアニメってそうそう無いと思う。
たいがいは、えー、そんなもんかよって思わされちゃう。 「膨大な知識」と「よく練られた考察」がなければ、鋭く、リアリティを持って社会を描くことは難しいのだろう。 その「醜悪な社会システム」の前に立ちすくむ個人というのは、なんと小さいのだろうと思わされるよね。 それでも、誰もが始めは彼のように、青くてシンプルな正義感からはじめて、社会のままならなさを知り、やがて戦い方を覚えていくか、それとも現実的な折り合いをつけて小さく生きていくか。 「未成熟な人間の特徴は、理想のために高貴な死を選ぼうとする点にある。それに反して、成熟した人間の特徴は、理想のために卑小な生を選ぼうとする点にある。」 シュテーケルさんの言葉だそうで、話の内容との関連づけがこれぐらいわかりやすい引用なら、俺でも納得できる気になれる。 ドラマというのは、たいがいの場合は前者を描くものだ。 草薙素子さんも例外でなく。 最終話、「それで世の中の何が変わるってんだ!」とトグサが吐きすてるように毒づくとおり、きっとあの幹事長が逮捕されたところで議員辞職もしないだろうし、何かが大きく前進するわけじゃない。 それでも9課のメンバーと合流することでトグサの心が少しでも救われるのは、これでまだ戦い続けることができる、という思いであろう。 手銃一丁で与党本部に突っ込むよりはまともな戦いが。 しかしどうでもいいけど、ビルの上からサリンジャーを投げ捨てるぐらい煮つまって、懊悩の果てにヤケクソになっていくトグサを見張り続けるバトーは、悪趣味なのか、それともそういう任務なのか…… もっと早く声かけてやれよって思うがw 最後に“笑い男”が問うわけです、必然的に“Stand Alone Complex”を引き起こすような今の社会システムをどう思うか、と。 素子さんが答える。 そんなことはわからんが、「情報の並列化のはてに、個を取り戻すための、一つの可能性を見つけた」と。 それは“好奇心”であると。 この会話で一つ思い出したことがあって、俺の友人で賢い女の子がいるのだが、その人が言っていたこと。 「一人の人間が何かに惹かれて、何かを好きになる。それって不思議だよね。私にはどうもその構造がつかめないよ。」 これを聞いたときに即座に「そうだよ!」と膝を叩いたわけではないけれど、後から考えてみたら確かにそのとおりだと思った。 結果からみて統計的に嗜好の傾向をつかむことはできるだろうけど、誰か一人の人間がどういう理由でどういうものに引き寄せられていくのだ、ということを説明し、予測するのは非常に困難だ、と。 そこに、「他の誰でもない私」を取り戻すヒントがあるのかもしれない、と。 そのことを思い出した。 ま、俺はそのことについてあまり悩んだことがないし、その友人もなんの気なしに素朴な感想として言っただけのことなんだけど。 社会学の一分野にとっては非常に重要な命題だし、サイバーパンクには欠かせない、もはや一つの“ガジェット”ですらあるのだろうね。 攻殻機動隊、いいね!
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