This Is The One! - innocent -俺にとってのお気に入り(The One)を公開していくブログです。最近は目にしたものをどんどん書いていく形になっています。いっぱい書くからみんな読んでね。
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東浩紀なんかが『ほしのこえ』と『月姫』を並べて語っていたけど、つまり自主制作の一つの流れが出来ていたころなのだろうなぁ、と思う。 もし『ほしのこえ』が自主制作じゃなかったら、たぶんほとんど見向きもされないんじゃないかと。 そうやって出てきた新海誠の最新作が、この連作短編『秒速5センチメートル』。 新海誠の長所っていうのは、それただ一つと言ってもいいと思うけど、やたらめったら画が(背景が)綺麗だってこと。 なんだかよくわからんけど(っていうかなんでもいいけど)とにかく感傷的なストーリーとセリフがあって、そこにやたらめったら綺麗な画がかぶさってくる。 これがとっても気持ちいいのよね。 実際、新海の作るショートムービーっていうのはけっこう好き。(『彼女と彼女の猫』とか『ef -the first tale-』とか) ただ、尺が長くなるともたなくなる。(『雲のむこう、約束の場所』なんて勘弁してよ、もう) 特に言うべきこともそもそもなくて、ただ画が綺麗なだけなんだから当たり前なんだろうけど。 で、この『秒速5センチメートル』もそのご多聞に漏れなかったわけです。 空はなんだかやたら光ってるし、これでもか!ってぐらいに桜は降ってくるし。 ストーリーっていうか脚本のほうは、まぁぶっ飛んでひどかったわけでもないから良いかな。 そういうものでしょうね、きっと。 あ、エンディングで流れる天門の音楽は相変わらず感傷的で良かった。 (ここから多少ネタバレの恐れですが)ただ、評価したいのは、結局あの男の子が(無駄に)必死に求めていた「なんだかわからんけど遠いもの」は、大人になってみたらいつの間にか消えてしまいましたとさ、っていうところ。 この投げっぱなしジャーマンっぷりは素晴らしいと思いますな。 例えば村上春樹みたいに、逃げ腰で無理やり描き出した結果がどうしようもなく情けなくなっちゃうよりは、ずっと好感が持てる。 『コスモナウト』で、書いたメールを何故か「保存」し続けた彼は、メールを送らなかった自分以外に誰も責められないままに、結局何を得たわけでもなく、あーあ「終わりなき日常」をどう生きるかなぁ、ってなところに行き着いちゃうっていう。 そこで俺なんかが思うのは、新海さん、人生もうちょっと楽しく出来るんじゃないの? っていう余計なお世話なんですが。 やっぱねぇ、「初恋」なんてものが圧倒的に輝かしく眩しいのはわかっているわけで、その上で今の恋をどう扱うのか、っていうところに味があると思うのですが。 まぁ、ほぼ全ての人が思うことなのかもしれないけど、一番切ないのは『コスモナウト』の澄田さんだよね。 「彼の目は私を見ていない」から告らないって、いやそこはだからこそ告れよ!って言いたくもなるのですが、しかしそこで言えない気持ちもわからなくはないわけで。 それで結局ラストでは、おそらく彼が乗っている飛行機が飛び立つのを眺めているっていう。 そこからうかがえるのは、おそらく彼女は種子島を出なかったんだろうなぁということですが、それはあまりにも可哀想すぎる気が……。 結局は、あの初恋の女の子(あかりちゃんだっけか)だけはどうなのかわかりませんが、主人公の男の子と澄田さんに顕著なように、人生を自らすすんで辛いものにしていく者たちの後ろ向き沈没ストーリー、ってとこなんでしょうかね。 その上で新海曰く、「世界はそれでも生きるに足る滋味を備えている」って、滋味はそんなに少ないのか! と自らにも渇をいれつつ僕は、明日は何をしようかしらとウキウキしながら幸福な寝床へともぐりこみましょうかね。
群れて生きる人間というものを、突き放して悲しく眺める。 感触として、自主映画が持つ雰囲気に近いものを感じた。 街の遠景のカットがところどころに連続して挿入されたり、静止画がフラッシュバックしたり。 (物語の中での役割として)「障害者を特別扱いしない」というところが、安全なところにとどまらなくて、少し野心的で良いと思う。 あの役どころが身体障害を抱えている必然性って、実はそこまで大きくない。 抱えていなければこの物語が成り立たないのも事実だけど、別に障害を持ってなくてもこのテーマを描くことは不可能ではないと思うのだ。 もちろん、この映画では身体障害者という存在を巧みに「利用する」ことによって、成功しているのだけれども。 別に身体障害者を出さなくても描くことは不可能じゃない、でもこの映画では身体障害者を出して描くことによって成功した。 それだけのことで、その意味で「障害者を特別扱いしない」。 それは子供を「利用」したり、老人を「利用」したりするのと同列だ。 ホテルの中での馬鹿でかいCGの魚がやたらと恐ろしくて、どこか暗示的だ。 あのグロテスクな魚に象徴されるように、鑑賞者を気持ちいいだけではいさせてくれない点が良い。上野樹里は画面上でめちゃ汚いし。 あんな魚出されたら、せっかくジョゼが語ってても何も聞こえてこないや。 悲しいまでの人間同士の距離の遠さが、そのままポンと放り出される。 距離の近い関係が、一つも出てこない。 お婆が死んだあと、恒夫に対してドアを開いた時点で、すでに覚悟を決めていたジョゼが一番悲しい。
相変わらず、岩井俊二的な映像へのこだわりは見事。 ただ、この作品ではそれがそこまで機能していたとも思わない。 もしかして、それを捨て去ってしまったほうがかえってよかったのかもしれないと思った。 14歳の世界というのを上手く描いたのかなぁと思う。 俺はもう14歳ではないのでわからないけど、たぶん14歳の身に感じる気分だとか出来事とかを上手くデフォルメして描くところが上手いんだと思う。 だから別に、現実世界と比べてリアリティに無理があるとかいうことは問題にならない。 14歳の気分を描くためなら、別に無理があってもそれで上手く描けるならいいのだ。 と、いうようなことを突き詰めてやってしまう、岩井俊二というのはなかなかすごくて変な人だなぁ、と俺なんかは思ってしまう。 ただ、なんか変なところに昇華しようとして、結局美しくまとまってしまっているところが、この作品の迫力のないところなのかもしれない。 もっと、どうしようもなく追い詰められて、見たくもないような汚いものを目にしたい。 群青いろの新作に期待。 あと、もう少しカットするところをカットして、尺を短くして欲しいと思った。 正直、あれで2時間半はけっこうきつい。 上で書いたこととリンクするのだが、ある意味どうでもいいシーンはたくさんあると思った。 14歳の気分を描き出すには必要だということか。 っていうか今思ったんだけど、家は?って。 再婚して義理の父親とはあまり上手くいってない、ということが冒頭で示されるのみで、家族との関わりというものがほとんど描かれてこない。 14歳にとって家族というのは切り離せないものだと思うのだが。 この作品のここらへんがけっこう現代的なのかなぁ。 これは別にくだらないことなのだが、萌えキャラも満載。 狙ってんじゃないか、って思うぐらいに萌え要素はたくさん発見できる。 まぁ、それも14歳だからなのか。 キャラがけっこう一般化されている部分など、どこかギャルゲとかエロゲの世界観と通じている気がする。 蒼井優の風前の灯の美しさに、涙。 最後に勝手なこと言うけど、群青いろの『14歳』を観てしまったら、これはもうどうでもよくなる気がする。
この作品が公開されたのは、信じられないことになんと1993年。 物語は、一つの事件を巡るものだが、その世界観の奥深さは計り知れない。 何度でも観ていろいろ考えたくなるような、セリフ、画面。 後に「攻殻機動隊」劇場版シリーズで爆発するエッセンスが、ここにも大量に詰まっている。 おそらく、テクノロジーの進歩によってそれまでの戦争と形態が飛躍的に変わってしまった湾岸戦争を受けて、この作品は作られたのではないかと思う。 恐ろしい強度の「思想」を練り上げるだけでなく、それをここまでの「作品」に昇華する押井守という人の頭はどうなってるのだろうか。 アニメだけでなく、日本映画界、さらにはサブカル全体に影響を与えたであろう強烈な作品。 2007年、自衛隊の反乱はいよいよ現実感を増してきている。
その中で一番面白かったのは、この『手紙』である。 (余計なことを言うと、『パッチギ!』の次に沢尻エリカがかわいいのは『間宮兄弟』であり、一番胸が痛かったのは『シュガー&スパイス〜風味絶佳〜』であり、一番泣いたのはドラマ「1リットルの涙」であり、一番つまらなかったのは『天使の卵』だ) 『手紙』という映画はファーストカットが桜のアップから始まる。 正直な話、その時点で俺は不安になった。 ところが、観ていくうちにそれにはきちんとした意味があることに気付くのだが、それはまた余計な話。 近頃は日本の大衆映画界へのテレビ資本の介入により映画界が乱れているが、『手紙』はそんなテレビ畑の監督が撮った作品の中では、最も面白いのではないかと思えるような作品だ。 (井筒監督は映画畑でずっとやってきた中で、今、娯楽映画を突き詰めて撮っている点で希少だと俺は思っている。それは山田洋次や周防正行などとは違う方向性で。) また、同時に沢尻エリカの女優としての可能性も大いに感じる映画になってもいる。 この映画に限ったことではないが、求められた役割を、あれだけの完成度できちっとやり遂げるというのは、なかなか尋常じゃない気がするのだ。 まぁ、関西弁についてはわからないがw (山田孝之と玉山鉄二も秀逸!) 何かと「情」を中心に被害者への同情と保護が叫ばれる中では、このような作品が意義をもってくるのではないかと思う。 「情」を言うなら、「みんな辛いんだ」と言って全ての人間に愛を向けてみれ。 なんかこのジャケット写真は違う気がするんだけど、決してスマートじゃなく小奇麗じゃない、映画というのはそういう人間の生き様に目を向けていかなければならないのだと思う。 這いつくばって土に腹をこするように生きる姿、それこそ美しいのではないかと。
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