This Is The One! - innocent -

俺にとってのお気に入り(The One)を公開していくブログです。最近は目にしたものをどんどん書いていく形になっています。いっぱい書くからみんな読んでね。


<< ヘッドフォン AKG 『K414P』 | main | たむらぱんの気分 >>



スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

広告
posted by スポンサードリンク |-|-





五木寛之 『青年は荒野をめざす』

JUGEMテーマ:読書
 

タイトルがもろに俺の好みだいうことはわかってもらえるだろうけど、俺はもちろん五木寛之のファンである。
まずは、時代の空気をよく捉えた小説じゃないかと思う。
当時は、こんなふうに人生をスウィートに感じとることのできる、夢見がちなロマンティックボーイやガールたちがいっぱいいたんじゃないかな。
そしてそれは、時も場所も越えて、普遍的な若者の姿として、そのまま俺にも当てはまるのだが。
そんなスウィートな夢を、文字におこしてパッケージしたのがこの小説だと思う。
その出来栄えの見事なところは、五木寛之の大衆作家としての面目躍如である。

何かと都合よくうまくいったり、可愛い女の子しか出てこなかったりするところは、現代のラノベやエロゲと同じノリである。
しかしラノベやエロゲがオタクたちの現状肯定に一役買っているのと逆に、もっと違う生活だってできるんだ、と焚きつけている点がこの小説は違うように思う。
そう考えると、現代のラノベも40年後に読んだら、そこに描かれているオタク生活ってけっこうエキサイティングに映るんだろうか。
人生を能動的に躍動的に生きようという気概を持った若者の姿も、見る人によっては、浮かれているだけのロクデナシに見えたんだろうとも思うと、何か悲しい。


世界は素敵なんだぜ、人生ってのは良いもんなんだぜベイビー、ってことを、誰かに上手く伝えることができないことがある。
そんなときはこの小説でもすすめてみたらいいのかな。
例えばその人が落ち込んでいたら、これ読んだってきっと「こんなに上手く事が運ぶわけないじゃん」っていうんだろう。
でも、大切なのは上手くいくかどうかじゃない。
上手くいく「かもしれない」ってことだ。
結果は、結果である。


最高にスウィングするVan Morrisonの"You Make Me Feel So Free"からこんな一節を引用してみよう

I'm gonna lay my cards just right down on the table
俺のカードをテーブルに伏せるぜ

And spin the wheel and roll the dice
ルーレットを回して ダイスを転がすんだ

And whatever way it comes out
そうしたらどのカードが出ようと

And whatever way it turns out
どの目が出ようともだな

Well you know that's the price
わかってるだろう それがプライスってもんなんだ

Well I'll order again there's no need to explain
さてもう一回やるぜ 説明なんかいらないよな

I just need somewhere to dump all my negativity
ネガティブなものを全部捨て置いてこれるような場所が欲しい

But baby you make me feel so free
しかしベイビー お前は俺にとびっきりの自由を感じさせてくれるぜ


これだけ抜き出すとギャンブルに狂った男の八方破れな理屈みたいだけど、あの跳ねまわるピアノの音色と共に聴けば、何を言っているかしっかりと理解できるはずだぜ。
オザケンにも「ダイスを転がせ」という曲がありますな。

怖いに決まってるのさ、人生を丸ごと賭けてみるっていうのは。
でも賭けてみなくちゃ、勝利も敗北もないんだぜ。
せっかくこの世に生まれておいて、若いうちから自分のちっぽけな世界を必死で守っていていいのかい。


ここから余談だが、この小説の登場人物ケンを見ていたら、ロッキー青木の自伝を思い出した。
あと、五木寛之の小説としては、『海を見ていたジョニー』、『さらばモスクワ愚連隊』、『青春の門(第2部まで)』のほうが好きだ。



「世の中で自分でためしてみないで判る事なんかはないぜ。音楽は一つの体験だ。予想じゃない。頭の中で新しいコードを考えてるだけで、良い演奏家といえるかね? 君は白人女をためしてみるべきだよ。その上で無意味だと思えば、それが真実だ。仮定ばかりの上に自分の思想や、音楽を組みたてようたって無駄だと思うな」(文春文庫新装版 p.136)

広告
posted by kach 16:29comments(0)trackbacks(0)





スポンサーサイト

広告
posted by スポンサードリンク 16:29 |-|-


この記事に対するコメント











この記事のトラックバックURL
トラックバック機能は終了しました。