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俺にとってのお気に入り(The One)を公開していくブログです。最近は目にしたものをどんどん書いていく形になっています。いっぱい書くからみんな読んでね。


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清水翔太 『Umbrella』

JUGEMテーマ:音楽

 

昨日、J-POPと人生観のことを書いたので、ちょっとその続きで。
近頃最もハマっている国内のアルバムを紹介する。
清水翔太の『Umbrella』である。

先月ぐらいの記事に書いたが、清水翔太の音楽を始めて聞いたのは友達の車の中でのことである。
その友達のiPod nanoをシャッフルでかけていたのだが、「アイシテル」のイントロが流れた瞬間に俺は叫んでしまった。

「誰これ?!!」

そのイントロはまるでVan MorrisonやPrinceのロマンティックなスローバラードのようだった。
つまり、音楽的にも精神的にも、この言葉がもっとも適切だろう。
ソウルフルだったのである。

形ばかりを真似たエセR&Bが席巻する業界において、ポンと生まれてきたホンモノである。
リズム感などの身体的なフィーリングはもちろん、切実に歌うことを希求する精神性もビシビシと伝わってくる。
この1stアルバムには、初期の木村カエラのように、やっと思いっきり歌えるという喜びが満ちているように感じる。
ブルースをはじめとしたブラックミュージックのグルーヴと、日本や韓国などの得意技「泣きメロ」の幸福な出会い。
それは日本の歌謡の中で培われてきた、最も芳醇な実りの一つ、「ソウル歌謡」の系譜である。


ちなみに、俺がこのアルバムの中でも最も気に入っているのは「One Last Kiss」。
非凡なフロウのラップと泣きのコーラス。
シンプルなピアノのメロディーから始まって、美しい音色が次々に重なっていくアンサンブル。
そして、何より出色なのは、もちろんその歌詞。

時間とまれ
君もとまれ
人形みたいに動かなくなって
ガラスケースの中に入って
二人は永遠に輝いて


恋をしたことがある人ならば、誰もが一度は願ったことがあるだろう、あの瞬間。
こういう瞬間のことはこのブログでも何度も言及しているし、俺の急所であると同時に、哲学的にも面白いところなのだ。
日本の本格R&Bの先駆者である宇多田ヒカルの「First Kiss」や「Eternally」などを超える、とまではなかなか言えないが、並べてちっとも恥ずかしくないほどの名曲である。


この曲のアウトロを聴いてみてほしい。
かぶさってくるストリングスのなんとドラマチックなことか。
あんなに豪勢なストリングスを、数フレーズ聴かせただけであっさりとフェードアウトしていく、このいさぎよさ。
このアルバムを貫いているスタイルを象徴していると言ってもいい。

つまり、「最高のものだけをパックしたい」という姿勢。
あんなに素晴らしいストリングスなのだから、もっとたっぷり使いたいのが当然である。
でも「One Last Kiss」という曲の完成度のために、あのアウトロでの使い方が最も効果的だとしたら…
それはバッサリ切って贅沢に使うしかないのだ。
優先度を間違えないこと。
このアルバムを出したあとに使いたいアイディアなど、大事に守っている必要はないのだ。
ここで全てを賭けなければ、その後のことなど無意味でむなしいものになるしかないのだから。
このアルバムを最高のものにすること、それだけが追求されるべきことなのである。

このアルバムを聴いて、そういうことを考えていたのだが、この記事を書くためにWikipediaを読んでいたら、まさにそのことを清水翔太自身が言っていたので、とてもうれしくなった。
そのギリギリの行為の果てに「名作」と呼ばれる作品たちが生まれる…
ことがある。
生まれないことも、ある。

 

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