This Is The One! - innocent -俺にとってのお気に入り(The One)を公開していくブログです。最近は目にしたものをどんどん書いていく形になっています。いっぱい書くからみんな読んでね。
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JUGEMテーマ:読書 俺ぐらいになると、その作家を気に入るかどうかは、読む前からけっこうわかる。 というかまぁ、最初から気に入るつもりで読み始めているから気に入るのかもしれないけど。 逆のパターンもあって、気に入らない作家も、読む前からけっこうわかる。 これも、気に入らないつもりで読み始めているからかもしれないけど。 たとえば、筒井康隆なんかは、どうしても楽しめない。 俺の好きな作家、たとえば長島侑なんかが筒井康隆の『七瀬ふたたび』について書いているのを見かけて、この人が気に入るならば俺も気に入るかもしれないと考え直して、またトライして読んでみたりするのだけど、やはり気に入らない。 こういう作家は、たぶんいつまでたってもウマが合わないのだろうと思う。 小説家として以外の、評論家だとかなんかそういうところでのインテリとしての筒井康隆はたぶんそれなりにセンスがあるのだろうと思うのだけど、特に何か極端なこだわりがあるような人には思えないんだよなぁ。 ただまぁ、それはいいんだ。 大事なのは、気に入るほうの作家だ。 津村記久子の小説は、読み始める前から、これは俺にとって充実した読書になるだろうという予感があった。 それはたぶん、ツイッター上でフォローしている、俺が割と信頼を置いている読書家の感想を目にしてからのことだ。 あとは、会社員やりながら書いていることだとか、タイトルの感じだとか、装丁の感じだとか、とにかく、それらのもろもろすべてをなんとなく評価しての、なんとなくの感覚である。 気に入るだろうと予想しながらも、何度も手に取りながらも読み始めないでいる作家というのもたまにいて、たとえば俺にとってはクンデラがそういう作家だったということは、前にこのブログのどこかに書いた。 そういう予感があったから、どんな作家なのかちっとも知らないくせに、出版順に網羅的に読んでいくかということにして、最初に手をつけたのがデビュー作の『君は永遠にそいつらより若い』だった。 そこから、『カソウスキの行方』、『婚礼、祭礼、その他』と来て、次がこの『ミュージック・ブレス・ユー!! 』である。 なんつーか、良いものに出会った直後にそれを褒めるときって、あまりにも言葉が出てこないものだけど、今もさっき読み終わったばかりだからそんな感じ。 それまで読んだ小説でも、「あぁこの人はロックを聞いてきた人だなぁ」というのは明らかにわかったのだけど、それを正面から扱ったのがこの小説とでも言うべきか。 かつての、それこそ高校生だったころの俺を知っている人なら、俺もたいがいロックにイカれていたということはわかってもらえるだろうと思う。 18歳のころからは、50枚以上のCDをリュックに入れて持ち歩き、電車の中などでガチャガチャとポータブルCDプレーヤーを開いて入れ替えながら、いつでもヘッドフォンを耳に当てていた。 高校生の俺はどちらかというとU.Kだった。 Bloc Party.、Franz Ferdinand、Kasabian、Keane、Hard-Fi、22-20s、Kaiser Chiefs、Razorlight、The Subways、The Zutons、Snow Patrol、その他多数のもはや名前も思い出せないバンドたち。 たぶんここに挙げたバンドのほとんどが2004年か'05年のデビューのはず。 俺が高校2年生から3年生のとき。 当時は「ポストパンクリバイバル」だとか「ニューウェイブリバイバル」だとか言われてて、それを言い出したのはもちろんrockin' onだとかの業界なわけだけど、なんの知識も持たないただの飢えた子どもだった俺みたいな若者は、雑誌だとかCD屋で必死で情報を探るしかないわけで、業界の言葉には敏感にならざるをえない。 それに触発されてGang of FourとかThe Pop GroupとかエコバニとかP.I.L.とか聞いたけど、もはやなんの印象も残ってないのがちょっと虚しい。 当時の俺は、音楽こそが人生なのだと思っていた。 というよりも、音楽は人生よりも大事なのだと思っていた。 しかもたぶん、この小説の主人公のアザミほどにも、人と関わってはいなかっただろうと思う。 それこそ、トノムラぐらいに、人と関わるのは下手だっただろうと思う。(それを認めるようになったのは、つまり「俺は人付き合いが下手なのだ」ということを認めるようになったのはけっこう最近のことだけど。) 勉強をしたという覚えもないし、将来のことなんか少しも考えなかった。 親の追及をかわしたくて予備校にかよったりもしたけれど、予備校に行っているふりをして、予備校のある街の大きなTSUTAYAに行っていた。(思い出すと、親に頭が上がらない思いで泣きたくなるが) そこは品ぞろえが多摩地方で最大というところで、しかもプレーヤーが置いてある視聴コーナーがあったので、ずっといられた。 視聴コーナーからは思いっきり駅前の遊歩道が見下ろせるようになっていて、その風景は今でもすぐに思い出すことができる。 このブログを始めたのも、俺と同じように音楽に飢えている誰かが、少しでも新しい音楽を発見できる助けになればいいと思ったからだ。 それから、俺は人生について、当時よりは少しはよく知るようになった。 Badly Drawn Boyの「歌は答えなんかじゃ全然なくて、ただの人生のサウンドトラックだ(And songs are never quite the answer, Just a soundtrack to a life)」という歌詞や、イエモンの「僕が犯されたロックロールに希望なんかないよ あるのは気休めみたいな興奮だけ それだけさ」という歌詞を、なんの抵抗もなく受け入れられるようになった。 音楽は人生そのものではないし、ましてや人生よりも大事なものではないけれど、人生を助けてくれる、彩ってくれるものだ。 今は、そういう位置づけで音楽とは付き合っている。 数か月前に、2006年から使っていたPCが壊れて、それとほぼ時を同じくしてiPodも壊れた。 それで、俺がため込んだ音楽データのほとんどが消えた。 もちろん、バカみたいな量のCD-Rをひっくり返せば、そこから再現できなくはないのだけど。 もはや、それをやる気にはならなかった。 去年の12月にiPhoneを買うときに、他の在庫がなかったのでたまたま64GBのやつを買っていた。 そこで、まぁとりあえず必要そうなものだけをiPhoneに取り込んで、それ以外は放っておくことにした。 そういう基準で選んだ、今の俺が必要だと思うバンドたち。 それすら、無ければ無いで、それなりに生活できてしまうのだとは思うけれど。 Antony and the Johnsons Arcade Fire Badly Drawn Boy Bloc Party. Bruce Springsteen Cat Power Chrisopher Cross Coldplay Damien Rice Death Cab for Cutie Fountains of Wayne The Hooters Jack's Mannequin John Frusciante John Mayer Johnny Cash Kanye West Lady Antebellum Manic Street Preachers Mates of State Meat Loaf Metronomy New Order Prince R.E.M. Red Hot Chili Peppers Rod Stewart Sade Sam Cooke Stars The Stone Roses Tegan and Sara U2 Van Morrison なんというか、自分でリスト化してみて、「なんか、オトナやなぁ」という印象を抱いてしまったけども。 Chrisopher CrossとかRod Stewartとか、昔の俺が見たら「お前マジかよ」って感じだろうけども。 まぁそれでもロック寄りのものを集めてみると、こんなもんだろうかねぇ。 Kanye Westは、ほとんどロックみたいなもんだろ。 ま、これぐらいあれば飢えで苦しむことはないかな、という感じで選ぶと、こんなもんなんだろうねぇ。 ちなみに、Fountains of Wayneは『君は永遠にそいつらより若い』を読んでから入れた。 Mates of StateとTegan and Sara、Cat Powerあたりは俺のシュミなんだけど、なんでMetronomyが入ってるかというと、ちょっとヒネったのが聞きたくなったとき用、なんだろうねぇ。 今まで気づかなかったけど、'70年代より古いのがほとんど入ってないんだな。 Johnny Cashは「American Recordings」シリーズだけだしな。 こうしてみると、あの頃アホみたいに聞きまくってたバンドたちの、ほとんどがもはやあまり聞くこともないんだなぁと気づかされる。 上に挙げた、2004年ごろデビューのバンドたちのうち、今のiPhoneに入っているのはBloc Party.ぐらいか。 それすら、たまにあのドラムが聞きたくなったとき用に入れてあるだけで、実際にはほとんど聞かないもんなぁ。 あの、熱にうかされたような日々はいったいなんだったのだろうと思わなくもないけれど、「グルメ(美食家)であるためにはグルマン(大食家)でなければならない」って上野千鶴子も言ってるしな。 それで、グルメになって残ったのが、「ロック」というテーマでこのリストですかぁってのも、なんか、お行儀よすぎかな。 でも、これでたぶん飢えは十分にしのげるんだよな。 特に、Antony and the Johnsons、Bruce Springsteen、Coldplay、Johnny Cash、Prince、Van Morrison、このへんの主戦級たちさえ残っていればなんとか。 『ミュージック・ブレス・ユー!! 』についての話に戻りますけどね。 音楽聞いてたあの頃っていうのもあるんだけど、高校っていうのも確かにこんな感じのとこあったわぁ、と思わされるところもいろいろ。 人と人との距離感っていうかね。 津村記久子の小説には、いい感じの女のコがよく出てくるよね。 それに反して、いい感じの男のコがほとんど出てこないよね。 もうホントに、自分が男であることの嫌なところをまざまざと見せられるようで。 俺は高校生の時分には、たいそうイヤで醜くて汚い人間だっただろうなぁと、今となっては自分でもそう思う。 そして、そこから演繹して、今でもたぶん他人にとってたいそうイヤなやつなんだろうなぁと思うと、背すじがヒヤッと冷える。 津村記久子の小説には、そういう力がある。 いつも、倫理を突きつけてくる。 そうでない文章作家がいるのかといえば、まぁすべからく文章とは倫理を問うものだと言えるのかもしれないけど。 まぁそんなふうに一般化することには大した意味はなくて、つまるところその問う対象だったり切り口だったり角度だったり、問い方こそが作家性なのだろうけど。 それで、津村記久子は良い作家です。 いや、ホントに。 どこまで行っても絶対に俺には書けない文章がある、と思うわな。 ファンです。
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