This Is The One! - innocent -俺にとってのお気に入り(The One)を公開していくブログです。最近は目にしたものをどんどん書いていく形になっています。いっぱい書くからみんな読んでね。
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JUGEMテーマ:SF小説 バリバリのSF入門者である俺が、この本を友人に薦められて借りたのは2年ほど前だが、チラッと見ただけでそれからずっと放置し続けていた。 ル・グウィンのおかげもあって、やっとSFが読めるようになってきた最近なので、とても久しぶりに読み進めてみたら、なんのこともなくスッと読めてしまった。 とても面白く読めて、入門者はやはり代表的な名作から読んでいくのが王道であると再確認する結果になった。 ちなみにル・グウィン以外でこういった「SF!」という感じのSFを読むのは『夏への扉』以来で、あれがなんのフックもない薄味すぎる読み物だったのでSFに対するイメージは悪くなり、読まない言い訳にもなってしまった。 SFに親しむのにこんなに時間がかかった一因は『夏への扉』のつまらなさにもある、ということは恨みもこめて付け加えておく。 この本を読んで、何よりも気付かされたのはユーモアの大切さである。 「爆笑問題の太田さんが〜…」という宣伝文はこの記事を書く段階でいろんなレビューを見て知ったのだが、太田さんがこの本に大きな感銘を受けたというのもきっとそこのところなのだろうと推察する。 火星地球戦争のくだりや、水星でのトラブルと立ち往生など、いろいろな場面で吹き出したりお腹を抱えたりしてしまった。 シリアスに書けばちっとも笑えないシーンである。 こういったアメリカ文学に見られるウィットとドタバタ的な笑いというのは、たとえばフラナリー・オコナーなどを読んでも感じるのだが、俺にはかなりツボである。 シリアスなシーンであればあるほど、一層笑える、という。 それは世界のろくでもない出来事を笑い飛ばし、さりげなく風刺するというコメディの大切な役割の一つを俺に思い出させてくれた。 ユーモアの欠ける読み物や表現というものは、どうしても読み手を引きつける魅力に欠け、世界に対する批評という点でも鋭さを欠くものであろう。 本の主題というか、内容が俺にどれだけの新しい命題や仮説を与えてくれたかということはまだわからないが、このユーモアの大切さを教えてくれたという点で、すでに重要な本になった。 「乗組員が手をくだせる制御装置は、船室の中央シャフトにある二つの押しボタンだけだった――その一つには『オン』、もう一つには『オフ』と記されていた。『オン』のボタンは、火星からの飛行を開始するだけのものである。『オフ』のボタンは、なににもつながっていない。それは火星の精神衛生の専門家たちの要請によって加えられたもので、この専門家たちの意見によると、人間は自分が停められると思っている機械のほうを、つねに好むものなのである。」 (p.180より)
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