This Is The One! - innocent -俺にとってのお気に入り(The One)を公開していくブログです。最近は目にしたものをどんどん書いていく形になっています。いっぱい書くからみんな読んでね。
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JUGEMテーマ:音楽 ここ最近、日本ではそこまで話題にならないようなバンドの新作チェックを積極的にしていなかったので、こないだ2009年発売のCDをバーっと調べてったら、お気に入りのアーティストの新作がけっこうたくさん出ていた。 そこから二つ。 Regina Spektorはピアノの名手で、前作に収録の美しいバラードが1曲、『ココロデキクウタ』というベストセラーオムニバスに入ったので、日本でもけっこう有名になった気がする。 新作のほうは、期待どおりに予測不能というか、相変わらず一筋縄じゃいかないけど愛らしい曲たちが詰まってる。 本当にこの人のメロディーとか演奏の感覚が好きなんだよなぁ。 Mates of Stateは、俺がめちゃくちゃに音楽をあさりまくっていた2006年に出会って、たしかその年の俺的ベストテンに入れた気がする。 オルガン奏者の夫婦デュオなんだけど、ヴォーカルも含めてすごくミニマムな作りなのに音の入れ方が、「センス」なんていう陳腐な言葉でしかいえないぐらいに素敵。 この両者とも、なんていうかメロディーとかアレンジのクセが、俺にすごくフィットする気がする。 特に理由はないんだけど一緒にいるとなんとなく落ち着けたり楽しくなれる人がいる、っていうのと似たような感じだと思う。 この辺の感覚って自分でもよく読めないし、理由もわからないから不思議だよね。 あと共通しているところがあるとすると、「裏のほうでは一貫したリズムみたいなものをキープしてて、表のサウンドがどんどん変化していく」みたいな。 Coldplayのクリス・マーティンがThe Flaming Lipsの音楽を評して、そう言ってたんだけど。 「それはとても心地よいものになる」って。
JUGEMテーマ:映画 機会があれば見ようとずっと思っていたが、今日たまたまケーブルテレビでやっていたので見た。 これは面白い。 正直、怪獣映画というものはほとんど見たことがないので、そのジャンルのものとしての評価は知ったことじゃないけど、これは面白い。 これを楽しめない人は、物語のスジの教科書的上手さや、画面の迫力や音と光により得られる身体的な恍惚感、あるいは直情的な涙など、アラがなければ素晴らしいと言える偏差値的評価で映画を楽しもうと思っている人なのではないかと思う。 この映画は、ただ観客を没入させるための物語を、引っかかるところの少ないようにスムーズに進めていくようなつなぎ方をしない。 むしろ、シーンごとの「意味」をことさらに強調していくやり方で進んでいく。 そのことを押し付けがましく感じてしまったり、ノイズが多すぎて没入できないとして反発してしまっては、きっとこの映画は楽しめない。 物語が進んでいくにつれ、盛り込まれてくる「意味」の量が膨大なものになっていくために、この映画は焦点がしぼられていないと批判されるかもしれない。 しかしそのことは、この映画にとってはむしろ魅力になっていると思うのだ。 ファーストカットからのシーンでサクッと怪獣誕生の原因を(投げやりに思えるほど)簡単に紹介し、さっそくの怪獣登場でいきなりド迫力で走り回り、葬式のシーンになったと思ったら今度は政府ほか関係機関の暴力的ふるまいと役人のおざなりな態度がクローズアップされ、米軍ほか国際組織の介入で韓国の外交情勢も味付けの一つに加わり…… と、没入させる気がないんじゃないかと思われるような、迷走気味の展開の連続である。 おそらくこの辺で、怪獣大暴れ一辺倒のパニック映画を期待していた人たちは、イラだちを覚えてくるころであろう。 しかし、こうして提示されていく「意味」を受け止め、抱えるものが増えていくままに映画に身を任せていくと、この映画の魅力にどんどんハマっていくような気持ちになっていくだろう。 俺が思うにこの映画の一番の魅力は、ヒーロー(あるいはその資質を持つ者)が一人もいないなかで、それでも誰かがヒロイックなことをしなければ現状がどうにもならないと悟った人たちの、必死であがく姿である。 冒頭から提示されていくシーンごとの「意味」に共通することがあるとすれば、凡庸な一個人にはどうしようもない問題であること、だろうと思う。 それはケータイ会社に務める「先輩」のカードローンの問題まで含めて、この映画には個人で乗り切れない問題がてんこもりである。 それでもなお、あの家族たちが何度もなんどもふっ飛ばされたり捕まったりしても、強靭な意志で立ち上がり這いずりまわりながら食らいついていく姿が感動を誘い、明日を戦いぬこうとする観客ひとりひとりに勇気を与えるのである。 あんなに情けなかった家族でも、腹くくって一点見据えれば戦いぬける。 瞬間的な爽快感と「癒し」を求めて鑑賞しようとした、へっぴり腰の敗北主義者たちでは、映画に臨む態度、ひいては人生に臨む態度に、この映画との温度差があったと言いたい。 しかし映画終盤の、ついにグエムルを倒すというシーンだけが少し気に入らないけどなぁ。 なぜかというと、あのシーンだけ、ついに家族たちがヒロイックになるから。 あそこはもう少し、最後まで情けない倒し方で怪獣をやっつけてほしかったんだけど。 結局、どんどん悲しい存在になっていった怪獣であるがゆえ。 ま、映画的にはペ・ドゥナのアーチェリーの場面なんかは最高の盛り上がりなんだけど。 しかし、それにしても「エージェント・イエロー」の投下というのは、最高にハチャメチャな事態である。 抗生物質だか殺虫剤だか知らないが、半径500メートル(だっけ?)の細菌が死滅するというのは尋常じゃないだろ。 自分たちの生活圏のど真ん中にそんなもん投下されようとしたら、さすがに怒りますわ。 とは言うものの、日本の学生たちだったらあのような動員がかけられたかどうか…… もはや今日の日本の大学では、集会やデモをしただけで非人道的行為でもやらかしたかと思うほど犬畜生みたいな扱いを受けますからね。 さすがに民主化の記憶がまだ濃く残る韓国といったところなんだろうか。 でもさすがの米軍も、なにも群集のど真ん中に頭の上から危険物吹き付けなくてもねぇ…… なんか突然出てきたホームレスのおっちゃんが大活躍するのも、「おいおい」って思ったけど…… まぁ何度も言うようにそういう映画じゃないからね!! それ以外のところで充分に勝負できてるから良しということで。
JUGEMテーマ:読書 この荒涼とした世界で生きていくしかない我々には、未だ答えの見えない問いが山積みである。 やっと何か大事なものでも手に入れたと思っても、あっという間に去っていく。 まったくひでぇところである、この世界は。 あらゆるものは多面的で、それらで構成されるこの世界はとても重層的である。 重層的な世界の奥の奥まで目をこらそうとするとき、この荒涼とした世界は、それでいて美しさを見せることがある。 それは答えでも問いでもなく、ただ、果てしもなく美しい。 なぜこの世界はこんなにも荒涼としているのか。 それは百瀬のような野生的な考え方を持ち、しかもそのことを冷笑的に肯定して思考停止してしまう人間が多数いることが一因であろう。 一見、あのような考え方は厳しいところに自身の身を置くように見えて、実はとてもラクをしている。 彼の言うように世界を相対的なものとして単純化してしまったとしても、その上で人間同士が争うことなく少しでもマシな生活をできる方法を模索していくほうが、実はよっぽど大変なことなのだ、と思う。 そして、人間はより良い世界を模索していくべき存在なのだと思う。 今までもそうしてきたし、それがあって今の日本はこんなにも恵まれた社会になって、これからもより良い状況を求めていく不断の努力をしなければ、世界はまた荒れ果てていってしまうだろう。 百瀬に言ったら、荒涼としていることの何がいけないのかわからない、と笑われてしまうのかもしれないけれども。 コジマが汚くしているのには理由があり、百瀬が斜視に興味がなかったように、世界は多面的で重層的である。 それは人間にかかわることに限らず、「僕」が最後に見たように、世界のほぼ全てのものごとにあてはまる。 そして、世界は美しい。 最後まで読んだのにわからなかったのは、二ノ宮と百瀬の秘密である。 彼らは性の秘密を共有しているように思ったのだが、そこは解釈に任せられているのだろうか。 ---------------------------------------------------------------------- 「あの子たちは、……本当にね、なにも考えてないのよ。ただ誰かのあとについてなにも考えずにその真似をして、それがいったいどういう意味をもつことなのか、それがいったいなんのためになるのか――、わたしたちはね、そんなこと想像したこともないような人たちのね、はけぐちになってるだけなのよ」コジマはためいきをついた。 (中略) 「わたしだって最初はすごく悔しかったわよ。すごく。だってわたしがこんなふうに汚くしているのは、お父さんを忘れないようにっていうだけのことなんだもの。お父さんと一緒に暮らしたってことのしるしのようなものなんだもの。これはわたしにしかわからない大事なしるしなんだもの。お父さんがどこかではいているどろどろの靴を、わたしもここではいてるっていうしるしなのよ。汚さにもちゃんとした、ちゃんとした意味があるのよ。でもね、あの子たちにそんなこと言ってもぜったいにわからないのよ。そう思わない?」 (p.94より) ------------------------------------------------------------------------
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