This Is The One! - innocent -俺にとってのお気に入り(The One)を公開していくブログです。最近は目にしたものをどんどん書いていく形になっています。いっぱい書くからみんな読んでね。
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JUGEMテーマ:読書 「ゼロ金利」という言葉を耳にするたびに、これはすごい言葉だな、と思う。 下げて下げて、下げ張った先に待つ、背水にして無比の境地である。 0.1や0.01と、ゼロの間には絶対的な差がある。 スポーツやギャンブル、あるいは巨視的な見通しで刹那の判断を迫られるあらゆるもの、恋愛であれビジネスであれ、そういうギリギリの攻防の経験のある人ならばわかってもらえるはずだ。 「切り札」「奥の手」「必殺」、これらは他のあらゆる手とは一線を画した、比較できない立場を占めているものであるということを。 それが「最後の手段」である必然性はないが、しかし心構えとしては生きるか死ぬか、伸るか反るかというものである。 なぜならば、それを超える手はない絶対の手を打つ、ということは、それが破られればもう出来ることは何も無いからである。 もちろん、「切り札」を破られたあとにも、潮目が変わって勝つこともある。 しかし、それに向かって出来ることは悪あがきのみ。 効果的な手など一つも残ってやしないのだ。 あとは運を天に任せて流れにその身をたたえるだけ。 殴って蹴ってバラバラにして、親類縁者まで煮るなり焼くなりもうどうにもしてください。 天の思し召しとあなたがたの一存に全てをささげます。 さて、笑いというのはやっぱり良いものだ。 近ごろ、大いに笑える本に2冊つづけて出会うという僥倖に相見えたので、ここに記しておく。 ・『笑いと忘却の書』 ミラン・クンデラ クンデラの小説は、同じ主題を扱った変奏曲である。俺の見立てたところでは、短編集『微笑を誘う愛の物語』にその主題の萌芽はすべて含まれていて、『存在の耐えられない軽さ』と『不滅』において主題と技法の奇跡的に高次の融合がなされている。僕らがその主題に惹かれつづける限り、様々な変奏曲の一節は僕らを魅了し、主題の解釈に新たな一面をつけ加える。 ・『フロイトの弟子と旅する長椅子』 ダイ・シージエ 特徴的な来歴を持った作家の小説は、とかく作家個人の体験と結びつけられがちだが、そのように読むことしかできない者は、自らの想像力の欠如を嘆いてもいいと思う。クンデラも指摘していることだが、書き手と主人公が同一であるなどということはまずあり得ない。もちろん、まったくの無関係ということもまずありえない。ダイ・シージエの小説を一つ読んで、作者と登場人物を単純に重ね合わせた読者は、彼の別の作品を読むことによって自らの早計を恥じるだろう。 どこが笑えるか、それ以外にも優れた点はどこか、という指摘でもしようかと思ったが、俺の技術が乏しい上に、次の本も読みたくて仕方ないので、ここはいさぎよくあきらめる。 ただ、笑えるし、とにかく面白いということだけ言っておこう。 次の読書というと、ダイ・シージエの新刊『月が昇らなかった夜に』であり、今のところこれがとてつもなく面白い。 仏教と中国現代史の独学を進めているところに、たまたまこんな本に出会うとは。 本を選ぶ自分の才の天分と、運命のもたらす冴えた演出を称えるばかりである。
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