This Is The One! - innocent -俺にとってのお気に入り(The One)を公開していくブログです。最近は目にしたものをどんどん書いていく形になっています。いっぱい書くからみんな読んでね。
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仕事帰りに、『6歳のボクが、大人になるまで(原題:Boyhood)』という映画を見た。 もしも自分がこんな映画を作ったのなら、もう死んでもいいというか、安心して死ねると思った。 今まで劇場で見た映画の中で、一番よかったというか、一番いい経験になったんじゃないかと思う。 何もかもがセンス良くて、完璧にアメリカだった。 画と音楽と脚本で、感動した。
かつて恋した、今ではよき友人となりつつある女性に、俺は語る。 すべての人々、ことによってはすべての生命は、かつて一つだったのだ。 我々は一つのものから生まれ、この世に訪れた。 我々はやがてこの世を離れ、一つのものへと戻る。 何の因果か、我々はこの世において別々の命を生きる。 きっと、この生はそれぞれの試練のようなものなのだ。 我々には拒否することも、逃げることもできない。 試練の狭間で、誰かと一つになるような体験をするかもしれない。 それは生前と死後を思わせる体験で、我々をしばし試練から解き放つ。 試練の中でこそ、その邂逅はいっそうの輝きを放つかもしれない。 オアシスとは、砂漠の中にあるからこそオアシスと呼ばれるのだから。 しかし我々の運命は、変化と移動と試練だ。 あなたは俺の運命の道連れではない。 こんな瞬間のことも、いつか遠いこととして思い出すのみだろう。 やがて一つのものへと消えゆくのに、この個別の生が何の意味を持つのかはわからない。 たんなる運命の気まぐれのようなものかもしれない。 それでも我々は、この生を少しでも良いものにしようと努めている。 試練に対して、真面目に応えている。 生き方を身に着けるには、俺にはまだ経験も知性も足りない。 冷たく乾いた風が吹く、光に彩られて整った雑踏の街角で、ストーブの前にテーブルと椅子を出して、終わりなく行き交う冬支度の人々を見つめながら、異国のスパイスを利かせた料理を頬張り、俺たちはほんの短い時間を、語って過ごした。
1997年の田中ユタカの漫画を読んで、自分が純情であることを誇ろうと思う。 1988年の松田聖子を聞いて、自分はもう立派な大人だと言ってもいいのだと、そろそろ言いたいと感じ始めているのだと、気づく。 恋は俺をみじめにし、弱虫にし、ひとりよがりにする。 恋は、自分に足りないものばかりを気づかせる。 こんな夜を、こんな日々を、いつか懐かしく思うだろう。 若く、悩み、輝いていたのだと。 生きている。 生きているのだ。 生まれては消えていったたくさんの命の苦悩を思う。 夢や嘘みたいだ。 こんな夜に、俺は生きているのだ。 ふてぶてしいおっさんや、つまらなそうなおばちゃんを見て、クスッと笑う。 変わらないね。 昔も、こんなおっさんやおばちゃんがいたね。 いつか、俺もお父さんになるのだろうか。 まだ見ぬ日々と、まだ見ぬ人に。 こんな夜の、こんな日々の先に、いつか、何かが起こるよ。
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