This Is The One! - innocent -

俺にとってのお気に入り(The One)を公開していくブログです。最近は目にしたものをどんどん書いていく形になっています。いっぱい書くからみんな読んでね。





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『Wrecking Ball』についての、いくつかの考え

JUGEMテーマ:音楽


発売日の夜に、『Wrecking Ball』を数回聞いた上での感触をざっと書いた。
それからおそらく10周ぐらい聞いたけれど、これが素晴らしいアルバムであるという意見は変わっていない。
いくつか書いておきたいことが出てきたので、ここに書く。


まず、表題作の"Wrecking Ball"について。
俺はこの曲がニュージャージーのジャイアンツ・スタジアムについて歌ったものだと知らなかった。
この曲は、ジャイアンツ・スタジアムが取り壊される前の最後のツアーにおいて、その場所でのライヴで演奏されるために書かれた曲であるらしい。
俺がこの曲を初めて聞いたのは『London Calling - Live in Hyde Park』でのことだった。
そこで「ジャイアンツがゲームをした」というラインに寄せられる大歓声が何を意味するのか、俺は理解していなかった。
そのことを理解したうえで、俺のこの曲に対する解釈はあまり変わらない。
というのも、この曲が具体的なものごとを歌ったものであることはもともと明らかであったし、素晴らしい詩の特性である、具体と普遍のイメージの自在な飛躍というものがそこにはあるからだ。


「俺は鉄のところから育った。ここ、ジャージーのみすぼらしいところで」という言葉からこの曲は始まる。
そこが鉄工で栄えた時代と、やがて廃れていくさまが、ジャイアンツ・スタジアムのかつての栄光と取り壊しに重ね合わされている。
若さや美しさが塵と化し、勝利や栄光が駐車場に変わったとしても、せめてそれを自分たちの手でぶっ壊してやろうぜ。
厳しいときは行ったり来たりするものだから、今回の苦境では腹を決めて盛大な一撃をお見舞いしてやろうぜ。
曲の流れとしてはこんな感じで、この曲単独で語られていることはだいたいこんな感じのものだと思う。


これをアルバムの流れの中に置いてみると、もう少し違った角度で見ることができる。
俺の聞いたところ、アルバムの主要なテーマは少なくとも2つあり、1つは「不況」や「経済」のこと、もう1つは「約束」のことである。

鉄工や炭鉱を始めとした重工業を基礎に出来上がった町が、世界のあらゆるところで20年程度のあいだに壊滅的に廃れていった。
それが引き起こしたこととは、その町におけるコミュニティの壊滅である。
20世紀後半の数十年のあいだ、製鉄所や炭鉱を持つことによってそれらの町は栄え、組合が整備されて、戦後の平和と経済成長にもとづいた黄金期を謳歌した。

  Now when all this steel and these stories, they drift away to rust
  いまや全ての鉄と物語は 錆びついてしまった

  And all our youth and beauty, it's been given to the dust
  俺たちのすべての若さと美しさは 塵と化した

  When the game has been decided and we're burning down the clock
  ゲームは決着がつき 俺たちは時計を燃やし尽くしている

  And all our little victories and glories have turned into parking lots
  俺たちのすべての小さな勝利や栄光は 駐車場に変わってしまった

  When your best hopes and desires are scattered through the wind
  お前の最高の希望と欲望は 風のなかに散らばっている


いまや仕事はなく、この町が新しくできることは見当たらない。
組合が廃れた今では、人々のつながりを保つ唯一のものとは記憶に結びつく記念碑だが、それらの建築物も駐車場へと変えられている。

いったいなぜ、この町はここまで廃れてしまったのか。
労働者たちがしっかり働かなかったのか。
経営者が重大な失敗を犯したのか。
不景気が長くつづいているのか。
そうではない。
経済が変わってしまったのだ。
もう後戻りはありえないほど、何かが決定的に違ってしまったのだ。

それは誰かが望んだ結果なのだろうか。
部分的にはそうである。
資本の流動化によって、大金を手にした一群の人々はいる。
では、彼らがその流れをつくりだし、責任は彼らにあるのだろうか。
どうやら、そうではないようだ。
たまたま彼らの地位についていた人々の名前と顔と人格がそっくり他の誰かと入れ替わったとしても、おそらく同じことが起きただろう。
労働者たちが取替え可能な労働力としてみなされてきたように、いまや資本家や経営者や投資家たちもまた取替え可能なものとしてみなされるのだ。
このような視点に立つとき、主役は人間ではなく経済になってしまった。
では、経済を誰かが止められるのだろうか。
あるいは、経済を誰かがコントロールできるのだろうか。
こんな時代に、「俺たちが自分たちの世話をみる」というのは、どういうことなのだろうか。
その答えを出すのはひどく難しい時代であるようだ。


どうも現状のやり方を少し変えてみる、というぐらいでは、人々は経済に翻弄されるがままでいるしかないようだ。
一度、根本から考え直す必要がある。
そんなとき、お前ならどうする。
お前が何を手にして、お前に何ができるのか見せてみろよ。
お前の鉄球をもってこいよ。
最高の一撃をお見舞いしてやろうぜ。
"Wrecking Ball"はそういうことを言っているように、俺には思えるのだ。


アルバムのテーマのもう1つ、「約束」については、まだ上手く書ける気がしないのでまだ書かない。
ただ、アメリカの開拓と勤労の精神が、千年王国論の考えに基礎を置いている、という指摘がされている本を読んだことがある。
このアルバムを聞くと、そのことがよく理解できるような気がする、ということだけ書いておく。




最近、Bruce Springsteenの歌における女性の位置づけについて、ブロガーたちのあいだでちょっとした話題になっているようだ。
そのことについて、少しだけ書く。
まず、おそらく揺るがないだろう前提として、Bruce Springsteenは男である。
彼は男として世界を見ているし、そうであるしかない。
だから、彼の歌の主人公に女性が少ないことを不満に思うのは馬鹿げているだろう。
彼が一番関わりがあるのは彼の人生であり、彼が共に時間を過ごす友達も男のほうが多いだろうから。
まさか、そのことに文句を言いたい人はあるまい。
歌詞に登場する人たちのうちで、その数と重要性の男女比が等しくなければならない理由はない。

彼が女性を重要なものと見なしていないのではないか、という指摘については、たしかにそのとおりかもしれないと思える部分がある。
彼の歌には意外性のある女性が登場しない、というのはたしかにそのとおりだと思う。
もうちょっと辛らつに言うなら、人間として現実的に生き生きしている女性は少ないかもしれない。
しかし、これについても、同じ理由から仕方の無いことではないか、と俺には思える。
つまり、彼は女性について、男性と同じ程度によく知っているわけではないのだ。
よく知らないということは、無視しているということではない。
彼の歌詞世界において女性が最も重要なものの一つであることは疑いようもないし、彼はそのことについて必死に考えをめぐらしているように思える。
それでも、彼がきちんとそれについて歌えるほどに理解できる女性の側面は、男性についてよりは多くないのだろう。
そのことは、男性の人物も女性の人物も特に登場せず、普遍的なものごとについて歌っているような歌についても同じくついてまわる欠点になりうる、ということは確かにありえる。
しかし、それ以外に彼には何ができるというのだ。
彼は彼の歌えることについて精一杯歌っている。
そして、この世界には女性もいることを彼が忘れているかといえば、そんなことはとてもありえないことのように俺には思えるのである。
もっと多くの女性の側面についての歌を聞きたい人がいるならば、彼よりもそれについて詳しい人が歌っているのを探すのがいいかもしれない。



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『Wrecking Ball』 Bruce Springsteen 発売初夜の想い

JUGEMテーマ:音楽
 

正式には明日発売の、今日から店頭に並んでいるBruce Springsteenの新作『Wrecking Ball』。
俺もさっそく、バイトの休憩時間に立川のHMVで買ってきた。
今やっているバイトは休憩時間が何度も何度も回ってくるのだが、そのたびに持ち込んだCDプレーヤーで音楽に耳をすませていた。
帰ってきてからも聞いて、ちょうど2周ぐらい聞いたと思う。
そんな、今の時点での感想。


1stシングルであり、リード曲でもある"We Take Care of Our Own"。
全体をとおして聞いたときに、この曲の力はあまり強いとは思えない。
歌の構成もシンプルだし、アルバム全体で彼のアレンジの新しいスタイルを作り上げた中では、アレンジも特筆すべきところがない。
だからといって、たとえば"Radio Nowhere"にあったような、ドライヴとパワーがあるわけでもない。
日本盤に多く寄せられている“解説”のどこかで指摘されていたように、この曲はアルバム全体の「下敷き」として位置づけるのがいいのかもしれない。
アルバムを聞いていく中で浮かんでくる数々の物語と共に、「We Take Care of Our Own」という一節を置いてみると、その一説の意味がどれほど多様であるかということを思い知らされているのだ。
そして、その多様さこそが、現在の我々を惑わせる多様さの、一つの象徴的な姿なのだということも。

だからこそ、日本盤の和訳に注文をつけたいのだが、この歌詞の内容を勝手にアメリカの文脈に位置づけてはいけなかった。
「this flag」は「星条旗」ではなく「この旗」と訳すべきだったし、「the promise」を「アメリカの夢の約束」と勝手に解釈するのもいただけない。
ブルースがたとえアメリカの現状を見ながらこの歌詞を書いたとしても、それが詩となれば文脈から自由になることができるのだ。
それを文脈のなかにつなぎとめ直すということは、政治的態度表明のようなものに詩をつくり変えてしまうことだ。



一般的な感覚で見れば、1stシングルとしてもっともふさわしいのはおそらく表題曲の"Wrecking Ball"だろう。
歌詞も構成もアレンジも、少し長いということを抜きにすれば、ラジオに乗ってリスナーを引きつけ、アルバムを紹介するのにピッタリのように思える。
「bring on your wreckin ball」という挑発的な連呼は、聞き手の血をめぐらせて、いてもたってもいられないほどにパワフルな気分にさせる。
これこそ「ロックンロール」がもっとも得意としてきたことではなかったか。
「パンク」以前に「ロックンロール」を純粋に鳴らすことができた世代も、もはや残っているのはわずかだ。
そのうちの一人であるブルースが、明らかに新しくありながら純粋にロックンロールである、という神業を見せつけている。
1stシングルはこの曲だろう、というのが一般的な感覚だろうと思う。
しかし、現実には"We Take Care of Our Own"がその役目を担った。
その意味は、もう少しアルバムを理解してから考えたい。


ところで、"Shackled and Drawn"や"Death To My Hometown"がさかんに若者に呼びかけていたことを思えば(というかまぁ、思うまでもなく)、"Wrecking Ball"の挑発的な連呼の対象には若者が含まれる。
かつて"Badlands"で「I wanna go out tonight, I wanna find out what I got(今夜出かけて、俺が何を手にしているのかを発見したい)」と歌ったブルースは、いまや「let me see what you got(お前が何を手にしているのか見せてみろよ)」と呼びかけるのだ。

ブルースは犯罪者ではない。
権力者にとって、犯罪者よりもはるかに怖いものがある。
ブルースは犯罪者ではなく、反逆者である。
ブルースは王様のドアを叩いて城を乗っ取ろうとしているのではない。
巨大な鉄球で城を木っ端微塵にしようとしているのだ。
ハンマーやシャベルや、ましてや素手で城が砕けるわけがない。
城を砕くには、鉄球が必要なのだ。

「お前の鉄球をもってこい」と、ブルースは言っているのである。
反逆者の心意気を見せろと言っているのでなければ、反逆する理由を教えろと言っているのでもない。
「お前には何ができるのだ?」と聞いているのだ。
では、かつて自分には何ができるのかわからなかった彼が、今では「お前に何ができる?」と聞いているとすれば、ブルース自身はすでに自分に何ができるのかを見いだしたのであろうか。
それはアルバムのいたるところで明らかにされている。
ブルースにできることとは、「歌う」ことなのである。

「歌う」ことが反逆の鉄球になりうるなんて信じられない、という人がいるだろうか。
そういう人は、こういうことを思えばいい。
このアルバムを聞いて、とてつもなくパワフルな気持ちになって、自分の鉄球を見つけるために踏み出した若者が世界中にいることを。
すでに手に入れた鉄球を振り下ろすかどうか迷っていた世界中の男たちが、このアルバムを聞いて決心を固めたことを。
そして、そんな危険なアルバムが『Wrecking Ball』と名づけられていることを。




このアルバムがどんなに今の世相を反映しているか、ということがさかんに指摘されている。
もちろん、このアルバムは世相を反映している。
世相を反映しない芸術などありえない。
"Death To My Hometown"や"This Depression"を聞けば、このリーマンショック後のユーロ危機の時代について歌ったものだと感じるのは当然だし、実際のところそのとおりだろう。
しかし、注目すべきなのはその側面だけではない。
ブルースが見ている、その先の景色にも目を向けよう。


"This Depression"のコーラス部分の歌詞は、驚くべきものだ。

  This is my confession
  I need your heart
  In this depression
  I need your heart

構成はこの上なくシンプルだが、驚くべきなのはそのモチーフだ。
常識的な感覚から言って、経済用語は詩のモチーフには適しない。

「これは俺の告白だ。お前の愛が必要だ。」

これだけでは詩でない。
この一連を詩にするのは、そこに置かれるモチーフだ。
たとえば、月並みだが、こんな表現。

「これは俺の告白だ。お前の愛が必要だ。こんな雨の夜には。」

ここにおいては、語り手が見つめたり聞いてたりしている夜の雨に、語り手の心情が重ねあわされて、それで詩になるのである。
あるいは、「嵐の中では」でもいいし、「晴れた日には」でもいいし、「一人ぼっちの渡り鳥のように」でもいい。
ところが、ここにブルースが持ってきたのが「こんな不況では」なのである。
このことが何を意味するかというと、「不況」がもはや人間に属すものではなくなった、ということだ。
「嵐」や「不作」のように、ある神秘と共にやって来るもの。
そう捉えるとき、「不況」は詩のモチーフになりうるのであり、ブルースにとって現実はもはやその程度まで達しているのである。

となれば、もはやこのアルバムは単に現在の世相を反映しているだけではない。
ブルースは、「この」不況や「この」経済について歌っているだけではなく、くり返される「不況」や「経済」について歌ってもいるのだ。
「it's all happen before and it'll happen agein(それはこれまでに何度もおこった出来事だし、またおきるだろう "Jack Of All Trades")
「they'll be returning sure as the rising sun(日が昇るのと同じぐらい確実に、やつらはまた戻ってくる "Death To My Hometown")」。
「hard times come and hard times go and hard times come and hard times go(厳しいときは訪れて、去り、訪れて、去り "Wrecking Ball")」。
そして、"Easy Money"の主人公たちも、いつの時代のどんなときにもいたであろう主人公たちである。
だからこそ、若者たちは歌を歌い、鉄球を見つけなければならない。
「不況」や「経済」に抗うために。
繰り返しおとずれる「嵐」や「不作」に抗うことを人間は考えてきたのであり、不可避と思えるほどに常態化した「戦争」や「搾取」や「差別」にも抗ってきたのである。

ブルースは、銀行家をぶっ殺して銀行を閉鎖しろ、と言っているのではない。
「故郷のまちに死を運ぶもの」に抗おう、と言っているのだ。
お好みであれば、「地震」や「原発」に抗おう、と言ってもよい。


そして、"We Are Alive"で歌われる死者たちは、その意味において我々と共に生きているのである。
貧しい生活や自然の厳しさや人間の不和に抗い、今の生活をつくってきた数々の人たちがいる。
一方で、この歌の一節に出てくる犠牲者たちのように、その闇の部分に飲まれていった人たちがいる。
日本の高度成長には公害や抑圧が隠されているように、今の我々の生活をつくったのは学者や政治家たちだけではなく、"Easy Money"の主人公たちや"We Are Alive"の犠牲者たちなのである。
あらゆる挙動が次なる挙動への影響が不可避なのだとしたら、存在するものすべてが未来をかたちづくっている。
ブルースが歌うときにはエルヴィスが共にいるように、誰かが何かをやるときには必ず死者が集まってくる。



では、「歌う」こと、「鉄球をくだすこと」“だけ”が人間のやることなのだろうか。
もちろんそんなことはない。
もしもそうだとしたら、いつも「お前には何ができるのだ?」と迫られ、役にたつことや意味のあることばかりを求められることになってしまう。
ブルースの歌が、そんなものであるわけがない。
もっと、個人的なことがある。
「歌う」ことや「鉄球をくだすこと」が求められるのは、あくまでも他人と他人の関係の世界のことである。
他人との関係の世界で何かを実現するには、はっきりと形に現す必要がある。
「歌」はその一つの表現であり、「鉄球」は一つの方法である。
しかし、そもそもなぜ歌おうとしたのか、なぜ鉄球を求めたのか。

このアルバムのもっとも扇動的な数曲において、ブルースは自分にできることは「歌う」ことだと割り切っているし、それをまだ見つけていない者たちを鼓舞する。
しかし、"Jack Of All Trades"においては「歌う」こと以外であろうと何にでも手を出せると受けあってみせ、"You've Got It"では名づけることのできない魅力が人間にはあることを教えてくれる。
この2曲がラヴソングの形をとっていることは、偶然ではないだろう。
抗ってみせること以外の人間のやること、それは誰かと個人的に結びつきあうことなのである。
この結びつきを見つけられなかった者が、本当の怒りを抱くことなどないだろう。



抗うことは、別に目的というわけではない。
単に、やるべきこと、やらざるをえないことだ。
それがどんな意味をもつのか、何になるのか、答えられる人はいないだろう。


12時間のバイトを終えて、3時間書き続けたら、さすがにだいぶキツくなってきた。
そろそろ荒っぽくまとめるとする。


答えられない問いに答えようとするのは、哲学の一つの仕事である。
ブルースは、哲学を歌うときには、キリスト教の言葉を使うことが多い。
彼にはキリストがいる。
この世をさまよう人間たちは、しょせんどれも「lost souls」である。
そして「It's only our bodies that betray us in the end」なのだとしたら、人間はやるべきことをやるしかないし、それは報われる。
ブルースが怒っているとすれば、それは、やるべきことをやっていない人間がいる、と彼が感じているからだろう。
それで彼は歌うのだ、「手に入れたものを見せてみろ」と。
しかもそれは「ハンパなものじゃない、鉄球じゃなくちゃダメだぜ」と。
それがどれだけ大変なことか、やるべきことをやらなくては鉄球を手に入れられないと知っているから。




この記事に書いたこと、書こうとしたことのすべては、ブルースがビッグマンに宛てて書いた文章に書かれている。
それは本物の詩人だけが書ける文章だ。
この文章一つだけで、すべて足りる。




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Lady Antebellum 『Need You Now』

JUGEMテーマ:音楽
 

今年もグラミー賞のノミニーたちが発表されて、またもやEMINEMの一人勝ちになりそうな予感。
そんな中、EMINEMと並んで最多部門にノミネートされているのがLady Antebellumというバンド。
俺は今まで知らなかったのだけど、聞いてみたら、いいのね、これ。
最近、音楽を積極的に収穫しに行っていなかったことを少し後悔したぐらい。

やっぱり、男性と女性の混合ボーカルってのが俺は大好きなんだよな。
Mates of StateとかStarsみたいな。
このLady Antebellumも、男だけだったらJackson Browneみたいな、なんかむさくるしいっていうか暑苦しいっていうか、少しそういう感じがしてしまうのかもしれない。
カントリーっぽい音楽って、どうしてもそういうところがあるような気がする。
女性ボーカルが加わると、そこが薄められて、風通しがよくなるような。
聞いてて気持ち悪くならないよね。
カバージャケットは、まぁさすがカントリー界って感じだけどもw


何しろ、歌詞がよくってさ。
俺がこのブログに書いてることとか、ノートに書いてることとか、そういう気持ちを歌っちゃってるよね。
やっぱりコンテンポラリーでコモンなフィーリングって、なんかあるような気がするよ。
調べてみたら、ナッシュヴィルで結成のバンドですか。
さすがナッシュヴィル、なのか。
東京の郊外でも、ナッシュヴィルでも、同じようなことを同じようなときに感じている人がいるということ。
なんだか、不思議なような、当たり前のような。

タイトルを見ただけで、俺の気持ちを歌ってることはすぐにわかるような。
なんとも、惹きつけるタイトルの曲が多いよね。
「Hello World」とか、「When You Got a Good Thing」とか、「If I Knew Then」とか。
「Ready to Love Again」なんて、俺が最近ブログに書いてること、そのままじゃん。
このぐらいのわかりやすい発音と内容の歌詞なら、集中して聞けばわかるぐらいには聞ける。
そうやって英詞の曲を聞いてると、もっともっと英語ができるようになって、英詞の曲は全部こうやって聞けるようになりたいって思う。
頑張ろう。

というわけで、Lady Antebellumのお気に入りの曲たちの歌詞たちを和訳していこうと思う。
いいよ、これは。




Need You Now


Picture-perfect memories, scattered all around the floor
写真―完璧な思い出たち 床中に散らばった

Reaching for the phone 'cause I can't fight it anymore
電話に手を伸ばしてしまうのは もう耐えられないから

And I wonder if I ever cross your mind
私はあなたの心を見渡したことはあるのだろうかと考えるの

For me it happens all the time
私っていつもそんなことばっかり



It's a quarter after one, I'm all alone and I need you now
深夜1時15分 私は一人っきり 今あなたが必要なの

Said I wouldn't call but I've lost all control and I need you now
電話はしないって言ったけど もう何もできなくなっちゃって 今あなたが必要なの

And I don't know how I can do without
あなたなしでどうやってやっていけるのかわからなくて

I just need you now
今 ただあなたのことが必要なの



Another shot of whiskey, can't stop looking at the door
ウィスキーショットをもう1杯 ドアを見つめるのをやめられない

Wishing you'd come sweeping in the way you did before
昔みたいに君が来て 道をはっきりさせてくれたらいいのに って願いながら

And I wonder if I ever cross your mind
俺は君の心を見渡したことはあるんだろうかって考えるんだ

For me it happens all the time
俺っていつもそんなことばっかり



It's a quarter after one, I'm a little drunk and I need you now
深夜1時15分 少しだけ酔っ払って 今君が必要なんだ

Said I wouldn't call but I've lost all control and I need you now
もう電話しないって言ったけど 何もできなくなっちゃって 今君が必要なんだ

And I don't know how I can do without
君なしでどうやってやっていけるのかわからなくて

I just need you now
今 ただ君のことが必要なんだ



Guess I'd rather hurt than feel nothing at all
何も感じないよりは 痛みがあるほうがいいような気がする


It's a quarter after one, I'm all alone and I need you now
深夜1時15分 一人っきり 今あなたのことが必要なの

And I said I wouldn't call but I'm a little drunk and I need you now
もう電話しないって言ったけど 少しだけ酔っ払って 今君のことが必要なんだ

And I don't know how I can do without
あなたなしでどうやってやっていけばいいのかわからなくて

I just need you now, I just need you now
今 ただあなたのことが必要なの ただ君のことが必要なんだ

Oh baby, I need you now
ベイビー 今必要なの




ビデオもまた「こんなのよくある話ね」っていう感じで、さすがによくわかってらっしゃるよね。




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posted by kach 19:56comments(0)trackbacks(0)





Meat Loaf 『Bat Out of Hell』

JUGEMテーマ:音楽


久しぶりに音楽について書こうかな。

最近、Meat Loafにハマってる。
日本でこのアルバムを知ってる人に会ったことがないけど、海外では3000万枚も売ってるらしいですな。
俺は、もとはと言えばBruce Spirngsteenに似てるみたいな感じで出合った気がするけど、このアルバムを知ることができて本当によかったと思っている。

音楽性はモロに熱いロックで、Bruce Springsteenはもちろん、David BowieやRod Stewartあたりの、ピアノやサックス込みの編成でやるようなメロディアスなロックを、ことさらに暑苦しくした感じ。
これが後にBonnie TylerやForeignerなんかのいわゆる「産業ロック」になっていくんだと思うけど、その前夜のウザいけどウザすぎないバランスは稀有だと思う。
思いっきり盛り上がりたいからどんどんテンション上げていくけど、上げすぎると単にくどい(または逆に味気ない)セルアウトなだけの産業ロックになる。
その張り詰めたギリギリの部分で成り立ってるロック。(ちなみに俺は産業ロックもけっこう好きです)

数年前、My Chemical Romaceの『Black Parade』が出たときに、rockin' onなんかはDavid BowieやQueenやら、たくさんのバンドを引き合いに出して語ろうとしていたものだが、なぜ一言こういわないのか疑問に思っていた。
『地獄のロック・ライダー』と。
マイケミのあの最高に盛り上がるコンセプトアルバムは、「地獄」と「ロック」という二つの単語でMeat Loafのこのアルバムとつながっているように思える。


そして、このアルバムは最高のメロディに最高のアレンジ、そして最高の歌詞がある。
視点はどこの町にでもいそうなチンケなチンピラにあり、だからこそ多くの人の共感を得られる熱さと悲しさがある。
俺だって誰だって、ほとんどの人間は、もとはチンケなチンピラみたいなもんだろう。



見てろ!
地獄から飛び出るコウモリみたいに、誰よりも速くかっ飛ばしてやるぜ!!
お前はこの世界で唯一の綺麗なヤツだよ。
でも俺は違うんだ。
俺はどうせダメになる人間なんだから、どうせならお前と今夜ダンスしながらいっぺんにぶっ飛ばしてダメになっちまいたいのさ。
さぁ、行くぜ!!
誰も俺を止められやしないのさ!!

と言って、ぶっ飛ばして見事に事故るのが1曲目の"Bat Out of Hell"。



月明かりに照らされたビーチで君と抱き合うよりも素敵なことがこの世にあるかい?
一瞬だって無駄にはできないよ。
なのにどうしたことだろう、声が全然でないや。
どうやら君のキスで言葉が奪われちまったらしい。
でも信じてくれよ。
今まさに「愛してる」って言おうとしてたとこだったんだぜ。

というのが2曲目の"You Took The Words Right Out Of My Mouth (Hot Summer Night)"。



楽園の味を知ってしまったよ。
安心してくれよ、これを知っちまえば俺はもう逃げ出したりしないさ。
もう焦ってバカなことをしたりしないよ。
どうやら天国は待っていてくれるみたいだからね。

3曲目の"Heaven Can Wait"もなかなか上手くいっている。
しかし誰でも知っていることだが、チンピラがこういうことを言っていても信用しちゃいけない。
人の心、とりわけチンピラの心は移ろいやすのである。



俺はただの孤独な若い男だった。
お前もただの孤独な若い女だった。
でもお前は夢をかなえてくれた。
俺はすっかりタフになったんだよ。
ジャッカルのリーダーで特攻隊長だぜ。
お前と一緒なら世界最強だ。
土曜の夜には、行くところがないことに我慢がならなかったのさ。

4曲目の"All Revved Up With No Place To Go"はとても熱いけど、こうなってくると危ない。
このまま放っておけば、そのうち塀の中で膝を抱えるか、上手くやってもパブに入り浸りになるに決まっている。



俺たちは一晩中話し合う事だってできるよな。
でもそんなことはもう何も生み出さないよ。
お前が欲しいし、お前が必要だけど、お前を愛することはもうなさそうだ。
なぁ、俺はお前以外の女を愛したことはないんだ。
俺じゃお前に与えられないものがあるのがやりきれないよ。
もう一回やり直せるならって思うけど、お前はこう言うんだよな。
あなたを欲しいと思ってるし、あなたが必要だけど、あなたを愛してないし、これからももう愛せないわ。
でも悲しむことはない。
3分の2ってのは、悪い数字じゃない。

やっぱりこうなる。
ありきたりだけど、どうしようもなく悲しい5曲目の"Two Out Of Three Ain't Bad"



昨日のことみたいに思い出せる。
湖のほとりに車を停めて。
お前よりかわいい女は見たことなかったさ。
学校のダチどもはみんな俺になりたがった。
俺たちはナイフの刃みたいに熱くなったぜ。
ダッシュボードの光と共にパラダイスを見た。
間違いなく神に祝福されてたぜ。
だって間違いなく17歳だったし、ほとんど服も着てなかったからな。
あれは最高だった。
でもお前が急にこんなことを言い出したんだ。
「ちょっと待って。これ以上進む前に聞いておきたいことがあるわ。」
そこからはこんなかけ合いがしばらく続いたのさ。
「私を永遠に愛してくれる?」
「おい、俺は眠いんだ。」
「私を必要としてる?」
「寝かせてくれよ。」
「私を遠くへ連れてってくれる? 結婚してくれる?」
「へい、全部明日の朝になったら答えるさ。どうしようもなく眠いんだ。」
「永遠に愛してくれる?」
逃げられやしないよ。
それからの俺は、いつも神にこう祈るようになったさ。
どうか時間が早く過ぎ去って、全部さっさと終わっちまいますように。
ってな。
まぁ、遠い昔の話だ。
何もかも、今よりずっと良かったころのな。

"The River"の喜劇版とでも言える6曲目の"Paradise By The Dashboard Light"。



そして、すっかり自分を見失っちまった男が、はじめは女を探していたのに、いつのまにか神を探し求めて、ついに感謝の気持ちを手に入れていく7曲目の"For Crying Out Loud"。




俺なりの解釈でアルバムをまとめてみたけど、実は全然間違ってるのかもしれない。
でも、これはこれで筋がとおってるので良いことにする。

前回の日記で書いた、どうして歳を重ねるにしたがって「大人」の考えを手に入れていくのだろう、という疑問への一つの回答がここにあるかもしれない。
つまり、人は大なり小なり挫折をするものだ、ということである。
俺もそこそこの挫折をした。
挫折をして、人生はどうやらままならない、ということに気づくのである。
そして、ままならない人生をそれでも生きていかなければならない、ということにも気づくとき、そのことを受け入れるための説明がどこかに必要になってしまう。
そうして、人は「大人」の考え方を手に入れていくのではないか。
求めるものが全部手に入るわけではないし、自分の理想は必ずしも現実に反映されていかないものだ。
それならば、すでに手に入れたものを大切にしなければならないし、理想を追うこと以外の現実との使い方も覚えていかなければならない。

一面の事実だろう。
しかし「けっ!」と思う。
このことをただ一つだけの事実として受け入れてしまうと、世の中は安定した良いものになっていくかというと、そうではないだろうと思うから。
これだけで生きると、世の中は硬化して、誰にとっても非常に生きにくいものになっていくだろう。
こういうパッと見で常識的なことも一つの事実として受け入れながら、しかしこれにいつでも唾をはきかけることのできる人間でありたいと思う。


最後に、アルバムの中で一番好きな"Two Out Of Three Ain't Bad"の歌詞と和訳を書いておこうと思う。





    Two Out Of Three Ain't Bad



Baby we can talk all night
ベイビー、俺たちは一晩中語り明かすことだってできる

But that ain't getting us nowhere
でもそれはなにも意味をなさないよな

I told you everything I possibly can
俺はもう言えることは全部言ってしまったし

There's nothing left inside of here
ここにはもう何も残ってないよ


And maybe you can cry all night
お前は一晩中泣き明かす事だって出来るかもしれない

But that'll never change the way I feel
それでも俺の気持ちは何にも変わらないさ

The snow is really piling up outside
外はだいぶ雪が積もってきた

I wish you wouldn't make me leave here
どうか追い出されませんように






I poured it on and I poured it out
なだめすかしたりもしたし 脅してみたりもした

I tried to show you just how much I care
俺がどんなにお前を大切にしてるか知ってほしかったんだ

I'm tired of words and I'm too hoarse to shout
言葉には疲れちまったし 怒鳴るには声がかれちまった

But you've been cold to me so long
でもお前はずっと俺に冷たいよな

I'm crying icicles instead of tears
泣いたら涙どころか つららが出てくるぜ





And all I can do is keep on telling you
それでもう こう言い続ける以外になにもないよ

I want you
お前がほしい

I need you
お前が必要なんだ

But there ain't no way
でもダメなんだ

I'm ever gonna love you
お前を愛すことはもうできないだろうな

Now don't be sad
でも悲しむなよ

'Cause two out of three ain't bad
3分の2ってのは悪くないだろ

Now don't be sad
だから悲しまないでくれよ

'Cause two out of three ain't bad
3分の2ってのは悪くない





You'll never find your gold on a sandy beach
砂浜でゴールドの粒を見つけられるわけないし

You'll never drill for oil on a city street
油田を探して街中の通りを掘り返すこともしないだろ

I know you're looking for a ruby
どうやらお前は

In a mountain of rocks
岩山でルビーを探してるみたいだ

But there ain't no Coupe de Ville hiding
でもクラッカーの箱の底には

At the bottom of a Cracker Jack box
キャデラックが隠されてるわけないさ





I can't lie
嘘はつけないよ

I can't tell you that I'm something I'm not
本当の俺と全然違う人間のふりして 君と付き合うこともできない

No matter how I try
どんなに頑張ったって

I'll never be able to give you something
俺が持っていないものは

Something that I just haven't got
君にあげることはできないんだ





There's only one girl that I will ever love
いつまでも 俺が愛する女は一人だけさ

And that was so many years ago
それはずいぶんと昔の話だけどね

And though I know I'll never get her out of my heart
彼女を心から追い出すことができないってわかってたって

She never loved me back, ooh I know
彼女が俺を愛し返してくれることはない ってこともわかってるんだ

I remember how she left me on a stormy night
嵐の夜に 彼女がどんなふうに俺を置いていったか覚えてるよ

She kissed me and got out of our bed
彼女はキスして 俺たちのベッドから出た

And though I pleaded and I begged her
俺は彼女に心から頼んだけど

Not to walk out that door
どうか出て行かないでくれって

She packed her bags and turned right away
彼女は荷造りをして 向こうをむいて行っちまったよ





And she kept on telling me
彼女は言い続けたさ

She kept on telling me
言い続けた

She kep on telling me
こう言い続けたんだ

I want you
あなたが欲しい

I need you
あなたが必要なの

But there ain't no way
でもダメだわ

I'm ever gonna love you
もうあなたを愛すことはできないみたい

Now don't be sad
でも悲しまないで

'Cause two out of three ain't bad
3分の2っていうのは悪くないでしょ

Don't be sad
悲しまないで

'Cause two out of three ain't bad
3分の2っていうの悪くないわ





Baby we can talk all night
ベイビー 俺たちは一晩中語り明かすこともできる

But that ain't getting us nowhere
でも何も変わらないだろうな



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Regina Spektor 『Far』, Mates of State 『Re-Arrange Us』

Far
評価:
Regina Spektor
(2009-06-23)

評価:
Mates of State
(2008-05-20)

JUGEMテーマ:音楽
 

ここ最近、日本ではそこまで話題にならないようなバンドの新作チェックを積極的にしていなかったので、こないだ2009年発売のCDをバーっと調べてったら、お気に入りのアーティストの新作がけっこうたくさん出ていた。
そこから二つ。

Regina Spektorはピアノの名手で、前作に収録の美しいバラードが1曲、『ココロデキクウタ』というベストセラーオムニバスに入ったので、日本でもけっこう有名になった気がする。
新作のほうは、期待どおりに予測不能というか、相変わらず一筋縄じゃいかないけど愛らしい曲たちが詰まってる。
本当にこの人のメロディーとか演奏の感覚が好きなんだよなぁ。

Mates of Stateは、俺がめちゃくちゃに音楽をあさりまくっていた2006年に出会って、たしかその年の俺的ベストテンに入れた気がする。
オルガン奏者の夫婦デュオなんだけど、ヴォーカルも含めてすごくミニマムな作りなのに音の入れ方が、「センス」なんていう陳腐な言葉でしかいえないぐらいに素敵。

この両者とも、なんていうかメロディーとかアレンジのクセが、俺にすごくフィットする気がする。
特に理由はないんだけど一緒にいるとなんとなく落ち着けたり楽しくなれる人がいる、っていうのと似たような感じだと思う。
この辺の感覚って自分でもよく読めないし、理由もわからないから不思議だよね。

あと共通しているところがあるとすると、「裏のほうでは一貫したリズムみたいなものをキープしてて、表のサウンドがどんどん変化していく」みたいな。
Coldplayのクリス・マーティンがThe Flaming Lipsの音楽を評して、そう言ってたんだけど。
「それはとても心地よいものになる」って。

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